花を弄すれば香り衣に満つ

 今の季節はどこからともなく金木犀のいい香りがしてきます。お寺の本堂もいつもはお線香などの香りに包まれていますが、この時期は窓を開けると本堂全体に金木犀の香りが行き渡り、何とも言えない居心地の良さを感じます。


 あるお参り先でのことです。その家では、お参りに行くと双子の小学生がいつも大きな声で一緒にお正信偈をお唱えしてくれます。その子たちがなぜお正信偈をお唱えするようになったかというと、亡きおじいちゃんが生前から「毎日お仏壇にお参りしなさい」と言われていたからだそうです。おじいちゃんが亡くなられてからもお正信偈を練習してお唱え出来るようになったそうです。その毎日の習慣により、お念仏やお正信偈も身についたのです。

 今回のタイトルは
「水を掬すれば月手に在り、花を弄すれば香り衣に満つ。」
(水を掬うと掌に月が映り、花に触れると花の香りが着物に沁み込む)
という中国から伝わった言葉です。

 花の香りが服や身体に沁み込むように、私たちの人生の中にも、知らず知らずのうちにお念仏が沁み込んでいます。
 「南無阿弥陀仏」のお念仏は阿弥陀如来の「われにまかせよ、必ず救う」というどこまでも私にはたらきかける喚び声です。そのお喚び声が様々なご縁を通して今の私の人生に沁み込んでくださっているのです。


 お念仏称える自らの声の中から、阿弥陀如来の救いの喚び声を聴かせていただき、先人方が結んで下さったお念仏のご縁に感謝しながら手を合わす生活を送らさせていただきましょう。

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